今から10年以上前、本格的にこの仕事を始めた頃です。この道何十年で行列の出来る、ユタで有名なWさんとの話です。
「ヨザくーん、この前は今帰仁上い(ナキジンヌブイ)行ってくれて、ありがとうねー、あんたのグイスのおかげで御先ぬ世もちゃんと廻れたさー」
「あーW先生、僕も勉強になりましたよ、もう70歳に近いというのに、あんな重い重箱も三個も持っていって、お疲れさんでした」
「何が先生よ、それは良いけど、今度久高島行くんだけど、また一緒に行ってくれんかねー」
「久高島っすか?僕は行ったことないし、場所もわかりませんけど、お弟子さんと行けば良いじゃないですか」
「いや何十回と行ってるから、場所は解るけど、ウサチの感が取れんから、お願い行って頂戴」
「そうですかー、でもあそこは男子禁制の場所があるんでしょ?」
「あんたは大丈夫じゃない?、カミンチュだから、男も女もないさー」
「そうですね、これも勉強だし行きます、」
船に乗り久高島へ
「ヨザ君ありがとうね、やっぱりここから中国に結ばれていたんだね」
「そうですね、Wさんウガミが上手ですね~、それにお弟子さん達も熱心で、」
「いや私達は学問がないし、ウサチの感がとれんから、難儀するさー、あんたは、先祖事なんかいいから、今のままやりなさいよ、次は最後だから、クボーウタキお願いね」
「はい先生!男子禁制だから、すぐに出るけど、なんかあったらお願いしますよ~」
「えーー私は解らんよー、なんかあっても知らんよ!」
「えーー、まっ良いですよ、死ぬわけじゃないし、行きましょう」
てくてくクボーウタキの中へ
「へーやっぱり男子禁制でも大丈夫だね、Wさんはどうですか?」
「私は大丈夫よ準備しようね、」
「Wさん、線香の火僕が点けようね~」
「ありがとうお願いね~」
ライターで、線香に火を点けたとたん
バチーーーーーン、バチバチ
一瞬、手を何かに叩かれたような衝撃が
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